**** 串かつ(ダイアヤ) ****
久々のオフの日、
昼過ぎまで布団に潜っているとしつこいくらい何度もチャイムが鳴らされた。
居留守を決めこみ耳を塞ぐとドンドンドアを叩きながら
「アヤく〜ん!おらんのか〜!!」
と叫ぶ聞き慣れた声。
近所迷惑にもなりかねないので慌ててドアを開け、
声の主を引きずり込むと辺りを確認してドアを閉めた。
「近所迷惑やろ!」
と言いながら睨みつけると
「だってアヤくん出ぇへんねやもん」
と頬を膨らませる。
年甲斐もなくそういう顔するか…
と思い片手を額に当てると
「なぁ、行きたいとこあんねんけど行かん?」
と聞かれ
「どこ?」
と聞き返すと
「ええからついて来いや」
と言って半ば引っ張られながら家を出た。
電車を乗り継ぎ
「ほんまどこ行くん?」
と聞いたが答えてもらえず、ただ窓の外を見ている。
そのうちこちらも黙りこんで目を伏せてついていくと
「着いたで」
と言われ、顔をあげるといつかどこかで見た店の前に立っていた。
「ここ…」
と呟くと手を引かれて店に入り、
個室に通されて座るとダイシが適当 に注文する。
おしぼりで手を拭きながら
「ここ、覚えとう?」
と聞かれ頷いて
「当たり前や!俺がDに一緒にバンドやらんかって誘われたとこや」
と答えると笑顔で
「正解」
と言って親指を立てた。
忘れるわけがない。
君と来た想い出の場所を忘れるなんてできない。
さすがに恥ずかしくてそんなこと言えないけど。
しばらくして注文したものが来て、
テーブルに置かれた物を見るとそこには串かつ。
「これ…」
と言って口に運ぶと懐かしい味がして、笑顔で頬張ると
「喜んでもらえたみたいで嬉しいわ♪」
とダイシも笑い
「自分も食べぇよ」
と勧めると頷いて串かつを頬張る。
あっと言う間に二人で平らげ
「美味かったわ〜」
と満足気に腹を撫でると
「ソースついとうで」
と言って唇を舐められ、
突然のことに驚いて真っ赤になりながら
「ちょっ…!」
と言うとにっこり笑いながら口付けてきて
「んっ…ぅ…」
と声を漏らすと舌を差しこまれ、
舌を絡めながら俺の背中に腕を回してきた。
唇が離されダイシを見ると肩先に頬をつけて俺から顔が見えないようにし
「D?」
と呼ぶと
「もう…辞めるとか言わんで?何の為に自分を誘ったかわからんやん」
と呟く。
いつもネタにしているあのことか…
と思いながら頭を撫で
「もう言わんよ。Dの側におる」
と言うと
「ほんまか?約束やで?」
と言って再び口付けられた。
自分もダイシの背中に腕を回すと
「帰ろか」
と言って体が離され、伝票を持って個室を出て財布を出そうとすると
「俺が出すわ」
と言って会計を済ませると俺の腕を引っ張って店を出る。
あの俺が誘われた日もご馳走になったのを思い出し、
先を歩くダイシの背中を見つめていると振り返ってにやりと笑い
「あの日と一緒や思うたやろ。でも1つ違う ことがあんで?」
と人差し指を出し
「お前にチューした♪」
と言って自分の唇を 指差した。
思わず吹き出し
「なんでそんなに嬉しそうなん?」
と聞くとにやつき
「さぁ?自分、串かつの味したわ」
と笑う。
んなもん食べた後だから当たり前だろと思いながらダイシを見ると
「絶対お前を手放さんからな。覚悟しとけや?」
と言って去って行った。
何がなんだかわからなかったが、
俺はダイシから逃げられないらしい。
くすっと笑ってダイシの小さな背中に
「一生ついてくわ」
と呟き帰路についた。
*********あとがき*****************
串かつと聞いたらこれしかないっしょ!と言うことで速攻書き上げたものです。
昔、アヤくんをサイコに入れたくてダイシが串かつをおごってやったと言う有名な実話をアレンジしてみました♪
軽く脱線してますが(爆)
食べ物につられるなんてさすがアヤくんですよね(笑)
てか、締め方微妙ですな(痛)